『いたずらKISS』(ZOIDS/0 リノン×ビット)

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 惑星ziの荒涼とした大地を砂煙を巻き上げて進む三体のダークホーン。 その行く先に見えてきたのは荒れた岩肌が砦の様に囲う人口建物、トロス・ファーム。 ゾイドバトルAクラスに属するチームブリッツの基地、兼住居である。

 見晴らしの良い彼方から砂塵の尾を引き到着した機体のコクピットより勢い良く降り立った人物は両手に零れんばかりの花束を抱え、お供の世話役ロボット達が降りるのも待たずにファーム内へ駆け込んでいった。

「リィーノォ〜ン…!!」
入り口付近から響く声が廊下を先行し、リビングへと届く。 ティータイムに興じていたブリッツの面々は
“あぁ、またいつものあいつがやってきた…”
という顔つきになった。心なしかにゲンナリといった感が漂っている。
そうする内にもドタドタと慌ただしさを伴ってやってきた足音の主に反応したドアが プシュッ と軽快に横にスライドした。
「な…、何だぁ!?」
目に飛び込んできた鮮やかな色彩にビットが驚きの声を上げた。
ドアの向こうに現れたのは美しく咲き乱れる花の束。開いたドアの上半分は薄桃色の花弁で埋め尽くされている。 その下から見えている足が唖然とする周囲を気にする事なくカツカツと音をたてて室内へと入ってきた。
「どうしたんですか? その花束…?」
どう答えるか大方の見当はついているが、チーム1常識に精通した最年少が律儀に質問した。
「勿論、我が心のオアシス、マイハニー リノンに捧げる愛の証さ!!」
皆の期待を裏切らない答えを返した自称王者ことハリー・チャンプは両手が塞がっているにもかかわらず気障な(と本人は思っている)ポ−ズを決めた。
「我ガ チャンプ財団ガ 品種改良二成功シタ 世界二2ツト無イ名花ダ。」
「ソノ名モ“スィート・ハニー”(笑) ッテ言ウノヨ♪」
「…お前等、…いつの間に入ってきたんだ?」
いつから室内にいたのか、チーム・チャンプのメンバーにしてハリーの世話役を勤めるロボット、セバスチャンとベンジャミンが言葉を継いだ。
「コラーッ! それは俺が言おうと思ってたんだ!! 先に言うな!!」
自慢話を先に明かされたとハリーは憤慨するがすぐ気を取り直してお目当ての人物に向き直り話しかけた。
「さあ リノン。 この花は君にこそ相応しい。」
彼女の前に跪いて花束を差し出すハリー。
「まぁ、ハリーったら♪ 相変わらず正直なんだから♪♪」
美しいものが似合うと褒められ 気を良くした少女は献上された花束を機嫌良く受け取る。
「君の開花した美しさの前では世界に知られた名花さえ身を潜めてしまうさ
マイハニー。」
「そお? やっぱりそう思う? 流石ハリー、見る目があるわね〜。」
一方、
(ハリーって相変わらず女の趣味悪りーよな。)
(仕方ナイワヨ。オ坊チャマ育チノ世間知ラズデスモノ。)
(あんな歯の浮く様な白々しい科白を臆面もなく吐けるなんてある意味王者ですよね。)
(イヤ、ハリーノボキャブラリーヲ考エレバ アノ程度ガ限界ダロウ…)
(だな…。)
ギャラリーはティータイムを再開しつつ その遣り取りを温かく(?)見守る。
「リ、リノン! 今日は君にどうしても聞いておきたい事があるんだ!!」
「聞いておきたい事?」
「…この際だからハッキリ聞かせて欲しい。」
何だろう、とリノンは首を傾げる。
「この、生まれながらの“王者”ハリー・チャンプと、そこでのほほんと茶を飲んでいる我がライバル、ビット・クラウド。一体どちらが君の恋人に相応しいか今ここでハッキリ答えてくれ!!」
「ウグッ…、ゴホッゴホッ!!」
「ブッッ!!」
いきなり指を指され、名指しで引き合いに出されたビットは飲んでいた紅茶を気管に入れ激しくむせた。
クールさがウリのバラットが口元に運んだコーヒーを勢い良くしぶき射程距離にいたベンジャミンがコーヒーシャワーの洗礼を受けた。
コーヒーにミルクを追加していたジェミーは手に持ったミルクピッチャーの中身を全てカップに移し替えたまま固まった。

ハリーの爆弾発言で穏やかムードが一転、緊迫感漂う雰囲気へと変貌した。
誰もが固唾を呑んで当事者の次の行動を待った。

(バラット→ベンジャミンに「すまん」とジェスチャー。)
(ベンジャミン→「もう!染みになるじゃないの!!」とジェスチャーしつつハート模様の
ピンクのハンカチでボディーを拭いている。)
(ビット→引き合いに出された事に抗議したいが咽喉が痛くてそれ所ではない。)
(ジェミー→ビットの背中を擦っている。)
(セバスチャン→何もしていない。)
(博士→いない。)   (←固唾を呑んでないみたいです・笑)

仲間達の熱視線(?)に晒されながらハリーは愛しのハニーを見つめる。

そしてリノンは―、
面倒な事になったわ。 何て答えようかしら…? 下手な事言えない感じだし…。
でも私の美貌が二人の男をここまで翻弄してしまうなんて…。私って何て罪な女なの!! あぁ、神よ…私は(長くなりそうなので以下省略)
―と、彼女なりに悩んでいた。

しばらくの間、考え込んでいた少女は意を決した様に顔を上げた。
「分かった…。 私が二人をどう思っているかハッキリさせるわ。でも、言葉でうまく表せないから行動で示すけどそれで良いかしら?」
乙女チックに恥らいながら応えを返したその様子に明らかな【裏】を感じ、御曹司を除く全員が身を竦めた。

何か企んでる…!?

警戒する周囲をよそに、おもむろに近付いたリノンは正面からハリーを見つめにこっと笑う。 どんな答えが返ってくるのかと期待と不安の入り混じった緊張顔のハリーの唇のすぐ横に柔らかなものが触れた。
「……。へ?」
様子を伺っていた面々も予想外の展開に呆然としている。
急接近し、すぐ離れた愛らしい少女の顔を見ながら自分の顔に触れた暖かな感触を確かめる。
手を近付け実感する。
夢…、じゃない!! 唇に、ではないがそれに近い部位に彼女からの愛情を受けたのだ。
「リ〜ノ〜ン!! 」
やっと想いが通じた、と涙を浮かべ両手を挙げて喜ぶハリー。
「良カッタワネ。良カッタワネ、ハー君!!」
先程コーヒーを拭っていたハンカチで 出ていない涙を拭き感動するベンジャミン。
「“馬鹿ノ一念 岩ヲモ通ス”(違!)だな、ハリー!」
変な感心の仕方をするセバスチャン。
喜びに沸くチーム・チャンプ。
かたや、驚きに固まるチーム・ブリッツ。
「嘘…。あのリノンさんが…」
「リノンにしては意外な答えだったな。」
「…………。」

再びリノンに向き直ったハリーは喜色満面で声を上げる。
「マイハニー! これからは恋人として君を守る事を誓うよ!!」
心結ばれた少女を抱きしめる為近付いてくるハリーを面白そうに眺めていたリノンは先程の愛くるしい笑顔を浮かべ身体を翻した。
「あ、あれ? ハニー? 俺はこっちだけど…?」
てっきり自分に歩み寄ってきてくれると思っていた彼女はあらぬ方向へ進んでいく。
ハリーの首がリノンの動きをトレースする。
その動きの先にいたのは…、彼がライバル視する金髪碧眼の少年。
今更何をするつもりなのか、と皆が見つめる中でリノンは下から覗き込む様にビットを見つめ、微笑んだ。そして…、
「あああぁぁぁーーーーーーーッッッ!!!」
ハリーが震え戦慄く指で指し示すその光景は…。
先刻自分が彼女にしてもらった愛情表現そのもの。

な!何で!? 俺を選んでくれたんじゃなかったの!?マイハニー!!
しかも、心なしか俺の時より永くない!?(語尾上がり)

蒼い顔で口をガクガクさせているハリーをよそに、未だ唇を寄せているリノンは閉じていた大きな瞳を開け、挑戦的な視線で彼を見ながら身を離した。

なぁに? 私がハリーを選んだと思ったの?
ビックリした? それとも少しはジェラシー感じた?
お生憎! まだ一人の男に縛られる気はないわよ。
口惜しかったら私が惚れる男になってみなさい。

彼女の音に無い声を物語る視線。

彼女の【奥】を読んだビットは左手を腰に当て、右手で頭を掻きながら苦笑いした。
こりゃ分が悪そうだ…。
そしてそう感じた自分を不思議に思う。
“何の?”分が悪い? “誰の?”分が悪い?

考え込むビットの傍らで再び話が動き出す。
「そういう訳で〜、ハリー。二人供魅力がありすぎてリノンちゃん困ってるの〜。
だ・か・ら・どっちが先に私のハートを射止めるのか楽しみにしてるわよ〜。(ウィンク付き)」
もう気は済んだろう。この女は性質が悪い。これ以上ここにいるのは心の毒、と世話役2体に引き摺られる様に去って行くハリーは無駄な抵抗を見せながら捨て台詞を残す。
「リ〜ノ〜ン! 必ず君のハートを掴んでみせるから待っててくれ〜…!
ビットより君に相応しい男に絶対なってみせるから〜…!!」
こんなに熱烈に想っているのに何もない男と同等の扱いなのか、と強制送還されて遠ざかっていくハリーを憐れんだ目で見送るジェミーとバラット。
「こんな事だろうと思ったけどな…。」
「ハリーさん、お気の毒…。」
全くだ、と心の中で激しく二人に同意しながら報われないハリーを見送るビット。
少し離れた位置からニコニコと手を振って「じゃ〜ね〜♪」と見送っている少女の、柔らかな線を描く血色の良い唇を視線に入れながら考える。
どうやら皆は、気付いていない。 少女の頭が死角になって、見ていない。
そっと寄せてきた彼女の唇が微かに自分の名を呼んだ事を。
触れた唇が半分だけ自分のそれに重なっていた事を。
「ホント、おっかない奴だな、お前…。」
これはかなりの強敵になりそうだ、と前髪をかき上げながらビットは感嘆した。



<跋記>
来た! 来た!! 来た〜ッ!!
ぶる自己満足小説第一弾!!
『ZOIDS /0』でリノン×ビット\(≧▽≦)/
しかもハリー→リノン。っつーかリノン×ハリー?
このカップリングで私以外に誰が喜ぶと言うのか?
でも書いてて楽しかった(笑)
キッズステーションでの再放送を観て/0熱が再燃中!
マイナーだ…。私をリノ×ビ(ビリノ)にハメたのは誰あろう
ハリー本人( ̄▽ ̄; 
貴方の誤解から生まれるビリノ妄想映像が私に火を点けるん
ですよ。可哀想なハリー(←白々しい台詞を…)
一番の贔屓キャラはライガーゼロなのにライガー全然出て来ないのは
私がメカ物に弱いせい(^^;
あうぅ〜。ライガー激ラヴ(〃´▽`〃)あまりの愛らしさに悶える
ッス!!(変人だ)


(illust ほのなか)