「ごほ・・・!!」
暗い闇のなか、童子の前鬼が口から血を吐いた。
いったい何がなんなのか。
なぜ今自分の眼前にあの時朽ち果てた、鬼神でもなく
彼が望んだ人間でもない
その彼がなぜ、ここにいるのか。
「終わりか?鬼神前鬼。」
音もなく、黒き髪を膝まで伸ばした白い衣を纏う青年が一本の槍を右手に持って前鬼に歩み寄る。
「・・・・・・っ!!て・・・っめぇ・・・・・!!!心・・・・真ぁ!!!!!!」
そこには、日本最大の『法術師』心真が立っていた。
前鬼は思い切りその心真を横たわったまま、睨み付けた。
心真はそんな事など鼻にもかけず前鬼を見下ろした。
「鬼神にはならんのか?」
「!!」
前鬼は怒りを込め、心真を睨む。
「あの小娘がおらねばなにもできないとはな。」
心真はガシ!と前鬼の後ろ首を掴み持ち上げると手首を捻り前鬼を正面に向けた。
「最強といわれた鬼神も堕ち潰れたものだ」
「んだとお!!!!・・ごお!!!!!!」
ズド!と心真が槍を前鬼の胸に沈めた。
前鬼の吐いた血と、溢れ出た血が心真の顔と手を塗らす。
「ぐっ・・・・・・くぅ・・・・・・!!!」
前鬼が眼をきつく瞑り、痛みに耐える。
「前鬼。最期のチャンスとして見せてやる」
心真は眼を閉じ、印は組まず咒を唱えた。
前鬼がうっすらと眼を開ける。
そこには・・・・・・・・・・・・・・
泣きやまぬ、小明がいた・・・
『前鬼!!前鬼!!!
前鬼・・・!!あたしが・・・無理矢理現臨させたばっかりに・・・・!!』
「・・・・・・・・」
『前鬼が死ぬわけない・・・あたしは信じない!!』
「・・・・・で・・・・・・?」
なんで・・・どうして・・・
『前鬼・・・・死ぬ時は一緒だよ・・・』
あの時・・・殺そうとしたのに・・・・
『そりゃ・・・喧嘩ばっかだけど・・・・あたしにとっては大切な・・・』
なんで・・・あの時・・・出会った時殺そうとしたのに・・・
『前鬼・・・無事でよかった・・・・』
『前鬼ー!!!!死んじゃ嫌あーーーー!!!!!!!』
「・・・・ち・・・・・・あ・・・・・・」
息絶え絶えにそれでも必死に言葉を紡ぐ。
『あたしは役小角の末裔よ!!大切な者は、自分の力で護ってみせる!!!』
(前鬼を・・・みんなを・・・この手で!!!)
「小明!!!」
前鬼が叫ぶ。
心真は術を解くと前鬼を床に投げ、槍の刃を前鬼に向けた。
「鬼神。答えは?」
心真が訊ねる。もしここで前鬼が違う言葉は吐けば、心真は100%前鬼を殺すつもりだった。
金剛斧を操れぬなら、操る鍵が答えられないのなら。
「・・・・・・・・・たい・・・」
「?」
「オレは・・・あいつを・・・小明を護りたい!!!
そのためにオレは金剛斧を手に入れる!!!!」
「・・・・・・そうか。」
心真はカラン・・・と、槍を放した。
「ならば私を討て前鬼!!そして戻るがいい!!お前を想う少女の許に!!」
「言われなくてもやってやる!!!」
前鬼は拳から光り輝く金剛角を取り出した。
小角が自分に鬼神の力を貸しているとわかった。
「ヴァジュラ雷光牙!!!!」
激しく弾ける電気が心真を貫く。最期に心真が「ありがとう」と言ったのを聴いた気がした―
ここは・・・・
「・・・前鬼・・・・」
ああ・・・ここは現世か・・・・
小明が泣いてる・・・心配かけちまったな・・・・
「小明・・・待たせたな」
「・・・・・前鬼・・・・」
前鬼・・・帰ってきてくれた・・・・
信じてたよ・・・・帰ってきてくれるって・・・・
お帰り前鬼・・・
あたしの・・・大好きな人・・・
≪完≫
【ぶるてりあ子コメント】
音滝さんの新作です。900HITのお祝いに頂きました。
ありがとうございます m(〃^^〃)m
小明が前鬼の事信じて待ってる姿が健気でもう…(≧д≦)
いじらしいッス! 愛らしいッス!!
そして前鬼が男前!! めっさ男前♥
そうです、小明んは貴方が護るんです。
あんたが護らず誰が護るねん!!!(力説)
いや〜ん もう ラヴラヴ (♥◇♥)〜*
音滝さんに感謝!! (*^^*)>
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