「小角のクソジジィがっ!!!!」
木の枝を跳び台にしながら毒つく前鬼。
「今度会ったら八つ裂きに・・・・・!!」
「文句いう暇があるのならさっさと進みなさい」
怒る前鬼とは対象的に冷静である後鬼。
二人は小角の命令でとある山奥にある屋敷出の鬼神を迎えにいくのだ。
この辺一体を仕切る最高位の鬼神と人間との間で生まれた鬼神―光鬼を
迎えにいくのだが・・・
この山に差し掛かり、小鳥のさえずりさえ聞こえないのだ。
しかも屋敷のある場所からは煙が上がっている。
「何があったんでしょうか・・・・?」
後鬼が思案顔で悩むが結局わからなかった。
「急ぎましょう。」
「命令すんな!!!」
庭には無数の無残な死体が転がっている。
「酷い・・・・!」
後鬼が口元を抑える。前鬼はあたりを見回している。
「ここで・・・なにが・・・!」
「何かの襲撃でもうけたんだろ」
前鬼がことなげに言う。
「オレ様は中を見てくる。てめえはその辺を見回ってろ。」
「わかりました。光鬼さんをよろしくおねがいします。」
ボオオオオオォォォォ!!
うなりを上げ、熱気が前鬼を襲う。屋敷の中ももはや原型を留めていない。
折れていたりねじ切られていたりしている柱に火が次々と燃え上がる。
「ちっ!!誰もいねーのか!!?」
前鬼の声が何者かに届き、その者が返事を返す。女の苦し紛れの声だ。
前鬼はそちらに走る。
女がいたのは、とある居間だ。その居間も血で汚れ、切り刻まれ、原型をとどめていない。
女は桃色の着物を纏い、腕の中には気を失った少女がいる。
「お・・・小角様の・・・・使いですか・・・?」
「ああ。」
女はやんわりと微笑み、上体を起こす。
「この・・・・子を・・・・っ!!」
「どうした!?」
光鬼を受け取った前鬼は驚いて女を見つめた。しかし彼女は絶命していた。
「ち!」
前鬼は出て行こうと身を捩る。その時光鬼が気づき、母を見た。
「か、母さん!!!!」
「うつけが!行くんじゃねえ!!!」
前鬼は光鬼を腕の中に押し込め、壁を突き破り、脱出した。
「・・・・・お母さん・・・・お父さん・・・・・」
光鬼が呟くように言葉を零す。
「何で・・・・こんな事に・・・・!
・・・・あなたも?」
「え?」
こっちに向き直った光鬼が前鬼を見上げ、聞いてくる。
「あなたもあたしをほおって・・・どこかに行くの?」
「・・・・・・」
前鬼はしばらく考え、首を振った。
「ほんと!?」
光鬼は輝くような笑顔を咲かせた。
「嫌でも一緒にいる事に・・・うわぁ!!!!」
前鬼の言葉が途中で切れる。光鬼がとっても嬉しくなり前鬼に抱きついたのだ。
前鬼はバランスを崩し、尻餅を付くが光鬼はおかまいなしにずっと抱きついている。
前鬼は一応、嬉しくて泣きじゃくる彼女が落ち着くまで背中を撫で続けたのだった。
≪完≫
【ぶるてりあ子コメント】
音滝さんより頂きました前鬼と光鬼(小明)の出会い編\(^▽^)/
流れる様な文章にはいつもながら感動します。
後鬼に戒められてる前鬼が…(笑)彼等の普段の様子を垣間見る事が出来る貴重な
遣り取りが面白いです(^^)。
そして光鬼との初対面。炎術の鬼神・前鬼らしく炎の中での出会いが
ドラマティック(♥ ◇ ♥)
出会っていきなり“いつも一緒”の約束(?)をしちゃう二人。
光鬼はすっかりその気です。 前鬼分かってるね!! 責任取るのよ!
(ちょっと違う)
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