「いたか!?」
「いやいねえ!!」
「そっちは!?」
「ごめん!僕も!!」
朝、三人の青年が肩で息をし、空き地の横倒しになった土管に背を預け、何か言っている。
役小角が創り出した巨大結界―式神町。
その霊的の名通り、この町には数多くの修行者、占い師、祓い師、巫女、住職、鬼、物の怪、
人外の生き物達も共に暮らしている。
大学生、役小角60代目が後継者、役ロキはここの出身であり、役家血族初の陰陽師だ。
隣の青年、久雛蒼樹と秋山昴はロキの同級生であり、高位鬼神だった。
普段人間として過ごす二人の額には鬼神封印咒(梵字)が描かれた包帯が巻かれている。
二人は大学に行く2時間前に落ち合い、ある霊を探している。
それは『産女』
産女とは我が子を生かしてやれなかった哀しみを抱き、この世に留まる浄化されるべき哀しき
死んだ母の哀れな成れの果て。
産女の我が子達はロキが預かっている。
あとは産女達さえくれば・・・・・・・・・・
「くそ!!!こんなに探しているのに・・・!!なぜ見つからない!!!」
「おかしいよ!!子供はこっちにいるのに・・・」
「なにか・・・・・・あったんじゃ・・・・・・?」
「・・・・・・っ今日は学校を休む!!!」
「そうすっか・・・」
「兄さんそうしよう。どうせ今日は始業式だし」
昴は兄にそういう。
今大切なのは産女の浄化なのだから
「だな。よし!!!やるぜ!!!!」
蒼樹はやる気を奮い立たせ叫んだ。
その叫びに大学の始まりのチャイムが重なった―
ロキが産女を探している間―役咒法堂
「よっと・・・ん?」
コロ・・・とロキの机から何かが転がり落ちた。
翠色の表面が海の底で太陽の光を浴び、海の線を映し出すようにさざないている。
美しい両手に収まるくらいの宝玉だった。
「なんだろ?コレ・・・・」
小明が手に取って中を覗く。
そこに・・・・・・
「おい小明!!腹へっ・・・」
「ねえ前鬼」
小明が童子姿の前鬼を座ったまま見上げ、前鬼を遮り訊ねる。
「コレさ。なにと思う?」
「何って・・・宝玉だろ?」
前鬼が何をというくらいに返事を返してやる。しかし小明は宝玉を片手に
「さっきロキの机から出てきたの。なんだろ?」
と言う。前鬼は小明から宝玉を取り、中を覗き込んだ。
「ん?」
「何か見えた?」
小明が聞くを前鬼は宝玉を覗き込んだまま「ああ」と答えた。
「野原が見える」
「野原?」
「ああ。ん?人・・・?いやあれは・・・・・・!」
「え!?」
前鬼と小明が気づいた頃には遅かった。
あたりに暴風と言っても過言ではない風が二人を取り囲んでいた。
「きゃああああああああ!!!!!!」
「なんだあこりゃあ!!!?」
前鬼は小明の肩をしっかり抱き寄せ辺りに眼を凝らす。v
風が、さらに強く二人を包んだ。
「ただいま・・・・ってっな!?」
ロキは引き戸を開け愕然とした。家の中に・・・台風???
これは夢か?自分は疲れているのか??家の中に台風が起こっていると間違える程に!?
文献などが舞っている。こんな事ならさっさとしまっとくんだったと後悔しながらロキは自分の部屋に戻りまたも
愕然とした。(いやあの二人が現世に甦り、愕然としない日はない)
「前鬼!!お前何勝手にソレを使っている!!!?」
「ロキか!!!しらねえよこんな宝玉!!!!」
暴風に掻き消されぬよう怒鳴り声で会話する前鬼とロキ。
「この痴れ者!!!!その宝玉は時越えの玉!!!発動させたが最後、どこぞの時代に飛ばされるぞ!!!!」
「何!!!!!んなもんここに置くなあ!!!!!」
「とにかくそれを手放せ!!!!!」
「手放せって・・・・うあ!!!!!!!?」
「きゃああああああああああ!!!!!!!」
「前鬼、光鬼!!!?」
ロキが駆け出し前鬼達に手を伸ばすがすでに遅い。
風が鬼神達とロキを遮るように一際強く吹く。
宝玉が前鬼の手の中で光りだした―
「いかん!!!!!」
キュバア!!!と一気に光が溢れ、前鬼と小明を包み込んだ―
そして役咒法堂にロキのみが残されたのだった――
「大丈夫?目を開けてお二人さん」
頭上から女の声がする。
前鬼がぼうっ・・・と目を開けるとそこには黒髪を一つに括った女性がいた。
「なんでえ、死んでなかったか」
「紅鬼!!!」
女性が強く言うと紅い髪と黒い髪が半分に別れている鎧、腕輪、額具を付けた青年が舌を出して顔を背けた。
「ごめんね。後できつく言っとくから」
「げ」
「連れの子、大丈夫?」
「は!!小明!!!?」
前鬼の声に小明はのろのろと目を開けた。
≪続≫
【ぶるてりあ子コメント】
音滝さんから頂いた新作小説です。
bbsではすっかりお馴染みになった
ロキ様の忠実なる僕・蒼樹&昂が
小説初登場です\(^▽^)
彼らはいいよ!(〃>▽<〃)
そしてもちろん前鬼と小明も出てます。
なんと今回二人はタイムトラベルしちゃいます!
婚前旅行です ♥ (違う!!)
さあ、皆さん御堪能あれ〜\(〃・▽・〃)/
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