リザ「大佐、お怪我は…」
ロイ「ない。それより……」
リザ「私は大丈夫です。では」
ロイ「待ちたまえ」
リザ「……何か?」
ロイ「君が怪我をしている」
リザ「私は……別に…」
ロイ「君がよくても私が困る。…君に血は似合わない」
――そんなものが似合っていいのは、私だけだ――



いつも忙しいけれど、君を想う気持ちは変わらない。
だから。
「仕事が終わった今くらい、甘えさせてくれ」
赤面した君の顔が、可愛くて可愛くてしょうがない。
昔の傷も過去も忘れて、今ひとときの安らぎに浸らせて。
「リザ」
愛しい君の名を呼ばせて。
これからも、一緒に。



交錯する思いのなか、揺るがない黒瞳。
何を求めているのかわかっちゃいるが、俺は心まであんたの駒になんかならない。
なってたまるか!!!



母さんに似たホムンクルスを殺した。
奴らの中じゃ一番マシだったグリードも殺した。
雨の日、痛むのはオートメイルのはずなのに。
血に塗れたこの右腕が痛むのはどうしてだ…?



闇に浮かぶ二つの影
「さあ、あの鋼の坊やはどこかしら?」



いつか、いつかきっと会いにいく。
それまでお別れだけど、きっとまた会えるから。
その時までさよなら。
俺が生まれ育った世界。
俺を支えて来てくれた人たち。
ウィンリー、大佐、そして、アルフォンス―――



いつかきっと大総統になってみせる。
この世界を根本から換えるために。
そんな私に、ついて来れる者だけ前に出ろ!!



日が沈んで一日が終わり、そしてまた新しい日が始まる。
一年前と同じ日付け。でも、今日起こることは一生に一度だけの出来事。
…でも、昨日と変わらない日々が今日も来た。
また大佐はどこかでサボり、少尉たちが駆けずり回って探し、そして見つけた時には眠っているあの人を見つけ出す。まったく変わらない日々の出来事。それでも私は今のこの日々を愛している。…ずっと、ずっとこうして、いられたらと、そう思う。

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